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金属加工技術を活かした
アイディアいっぱいの製品を開発

代表取締役 稲葉健次 / ケーアイ工業株式会社 / 富士市久沢
2018.02.28

稲葉健次さん(以下、匠)が代表取締役を務める金属加工会社「ケーアイ工業株式会社」は、1981年に個人企業からスタート。一貫生産受注システムで、企画から施工、メンテナンスまで行っています。
アルミ、ステンレス、スチールなど多種にわたる金属製品全般を手がけ、その加工技術が幅広い業界から高く評価されています。その製品は、建設、輸送機、食品、通信、医療、デザイナー商品などの幅広い分野で採用され、さらに新しい分野へも進出しています。
また、アイディアを形にし、新しい製品を開発していることが評価され、静岡県の経営革新計画の認証を多数受けている企業です。

「真のエンジニア精神は、未知の世界にチャレンジすること」

– さまざまな施設のモニュメントや建築関係など、依頼は多岐にわたっていますね

匠:本当にさまざまな分野のお客様からご依頼をいただいています。
JR沼津駅前のキラメッセとダイワロイヤルホテルの壁面のほか、富士市大渕にある神社の氏子さんたちからの依頼で、ステンレス製の鳥居を制作したこともありました。
それから日大三島高校の80周年記念モニュメント『つなぐ』も、弊社が制作したんですよ。丸い大きなステンレスの球体を集めたデザインで、溶接の技術を活かして球体同士をつけることになりました。
じつのところ、いずれも初めて試みた加工方法なのです。やったことがないものは断ってしまう会社もありますが、やったことがない仕事は成長や技術力を養うことができます。万が一できなかったとしても、できる方法を考えることで次につながります。私たちは、昔からそういう精神でやってきました。これが職人の高付加価値なんです。
経験のないものや、やったことのないものにチャレンジするのが、真のエンジニア精神だと思っています。

– お客様からとても頼りにされているのですね

匠:オーダーメード品がほとんどで、量産やリピート品は作りません。生産性は悪いのですが、どれも経験を積まないとできないものばかりです。
今までは、お客様からいただいた図面に従って作る請負仕事をやってきましたが、それらも、ある時期から減少してきました。私たちの立場は『お客さんありき』です。自社商品の発想さえ良ければ、そして努力すれば利益が上がるはず。工夫された商品が会社の士気を高めます。地域の会社のイメージの向上にもなりますよね。
私は『鉄工場』という言葉が嫌いなので、自己紹介する時は『金属加工をやっています』と言っています。『鉄工場』というと、今までは、暗い、年寄りが多い、汚い、危険……そんなイメージでした。今まさに、脱皮を図るために種をまいているところです。
ホームページに『ビジュアル』という言葉を使っているのもその一環。ビジュアル企業を目指そうということで、10年ぐらい前から移行してきました。

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「たゆまぬ努力と自由な発想から生まれた自社開発製品」

– お客様のニーズはどうやって掴むのですか?

匠:お客様と話しながら掴んでいくことが多いですね。それから現場での苦い経験。もっと良くしていくにはどうしたらいいか、いつも考えています。新しい発想を思いついたり考えごとをしたりするときは、静かなところでひとり考えます。例えばサウナとかね。アイディアっていうのは、さもないところで出るんですよ(笑)。
私がアイディアを出して、浮かんだらすぐ社員に制作を依頼します。こういう会社ですので、小回りが効きますし、思い立ったらすぐ動けるところがいい。商工会さんから提案やきっかけづくりなどをしてもらうこともあります。地域に根ざしたことをやっている会社にとって、商工会さんは切っても切れない関係ですね。

– 御社の自社開発製品として『ゴミマジック』という商品がありますが、どんな商品ですか?

匠:ゴミ処理機『ゴミマジック』は、7年ぐらい前に半年かけて開発した自社製品のひとつ。ステンレス素材と独自の加工技術を活かして作っています。特殊なチップに菌を住まわせて生ゴミを食べさせる仕組みで、菌から機械まで自社で開発したのですが、機械よりも菌の開発に一番苦労しました。現在でも継続的に改良しています。
電気と水道、排水口があればどこにでも据え付けが可能。生ゴミステーションボックスにセットして据え付けるだけ。とってもクリーンなので、マンションやアパートなどの一角に設置して共同で使っていただくこともできます。例えば1ヶ月以上も海の上で生活するサルベージ船や遠洋漁業の船で使うことができますし、自衛隊関係、環境に敏感な大手企業や社員食堂、フェスティバルやイベントなど、活用できる場所はまだたくさんありますよ。
改良してコンパクトにしたのが『どこでもゴミマジック』。『ゴミマジック』よりも小さくてイベント広場に持っていける処理機で、リーズナブルな価格を目指して開発しました。今回、この2つの製品で経営革新計画の承認を取りました。
最近では、愛媛のみかん農家さんが『ゴミマジック』を購入してくださいました。収穫したみかんのなかでも、形が悪くて売り物にならないものや、加工に回せないものなどが農家1軒で100〜150kgも出るそうです。その処理に莫大な費用がかかるということで、少しでも減らせないかと声をかけてきてくださいました。

– ほかにも、ステンレスの加工技術を活かした「手すり」や「塔婆立て」、「ライフフロートパネル」といった製品の開発もしていますね。

匠:特殊なパイプを使った手すり『Metal Handrail 美』は、うちのパイプ加工の技術を使って、曲線部分にスリットを入れて強度を出しました。
パイプのメーカーとタイアップしてパイプのレーザー加工を開発。ステンレスパイプの表面に施したBEP加工は、手垢などの汚れが付いても目立たず、乾拭きだけできれいになる特殊な加工です。施工や付け替え、メンテナンスも楽で、簡単に設置できます。この手すりの製造方法で、特許と「経営革新計画」の認証を取りました。
この手すりは、山手線や浦安のテーマパークなどでも使われているんですよ。今は東京オリンピックの施設に向けてアプローチしています。
『ニューデザイン塔婆立て』は、墓石に設置して卒塔婆が倒れないようにする商品。洋風の墓石が流行り始めたこともあって、御影石とステンレスを組み合わせて作りました。これは富士・富士宮地域でよく売れましたね。今は、ペット霊園で使う小さい塔婆立ても作っています。
それから『ライフフロートパネル』は、海沿いの公園や河川の近くに設置し、普段はベンチやテーブル、掲示板などとして活用。いざ津波や河川の氾濫があれば、救命道具としてパネルの上に乗って水の上に浮くことができます。ステンレス製なので、作れば10〜20年は持つ。これは『ものづくり補助金』を取得して開発しましたが、まだまだ研究段階です。

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「ものづくりのクオリティは、人づくりにあり」

– クオリティの高い製品を作るために心がけていることは何ですか?

匠:品質、社員教育、そしてお客様目線を大事にすることでしょうか。
品質については、加工ひとつ取っても、入荷した金属に傷がないかなど入念にチェックしてから作業に入ります。
社員教育にも力を入れていて、3ヵ月の間、週1回、弊社の工場長クラスが産業創造や生産性向上、マネジメントなどについての勉強会へ行っています。
それから、資格制度も大切です。溶接や現場でNC機械を扱っている全員の資格取得を使命としています。昔は必要なかったけれど、ある一定の技能や資格がないとその人の良さも上手さも伝わらない。
現場での経験と技術力、そして知識が融合して、仕事ができるかできないか、ひとつの基準になる。これを基本にして、社内のクオリティを維持しています。これからの金属加工会社のイメージが変わると思いますよ。

– 人材不足が懸念されている業界ですが、どのような対策をしていますか?

匠:この業界は高齢化を迎えていますが、ものづくりの会社に入ってくる人は少なくなり、求人を出してもなかなか来てくれません。人材の補充がとても難しい時代です。
職人による金属加工技術は、すべての経験を積むまでに3〜5年はかかります。しかも基準がそれぞれ違うので、品質を一定にできません。規格化すれば品質は一定になりますし、機械化すれば人を介さないので工期短縮・コストダウンにつながります。
ですから、職人さんの技術に替わる方法を見つけ、可能な部分はどんどん機械化していく。そして高い技術を持った職人さんには高付加価値となる部分を担ってもらう。便利になるということは、決して、職人さんを排除するということではありませんよ

– ホームページがしっかりしているので、お客さんが安心して問い合わせできますね。インターネットからのオファーも多いのでは?

匠:先ほどお話した愛媛のみかん農家さんは、弊社のホームページで『ゴミマジック』のページを見てご連絡くださいました。今ではインターネットを使ってプロモーションすることが当たり前の時代になっていますが、弊社は取り入れるのがとても早かったのです。
初めてホームページを作ったのは20年以上前。ちょうどインターネットが出始めたころですよ。従来のように人を介した営業もしていますが、どの企業も今はホームページを見ますから、企業ランクをそこで決められてしまう。
しかも、きちんと更新してつねに新しい情報を出していないと、そこでお客さんは離れてしまいます。(お客様に)ワクワク感を持っていただいて、『一回ここの会社に行ってみたいな』と思えるようなホームページが理想ですね。

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代表取締役 稲葉健次
ケーアイ工業株式会社
富士市久沢
0545-72-2735
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