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日本初の車検代積立サービスなど
画期的アイディアで業界をリード

三代目 佐野大輔 / 佐野源スズキ販売 / 静岡県富士市久沢1-6-23
2018.02.28

昭和32年創業の佐野源スズキ販売は、自動車の販売から車検・メンテナンスなどを行う「街の車屋さん」。アットホームで親切、そしてアフターサービスがしっかりしていて、自動車のことならなんでも相談できると評判です。
佐野源三代目の佐野大輔さんは、自動車についての知識やデザインを学び、イタリアに留学。帰国後はスズキ直営店でディーラーとして経験を積みました。
冊子を使ったプロモーションや、カラーコーディネーターの資格を活かした軽自動車(ハスラー)のラッピングデコレーション、車検代の積立サービス「ママ車検」、チャイルドシートの取り付け指導など、新しいサービスの開発を次々と実現させています。

「地域密着型だから発案できる独自のサービス」

– 明るくて素敵なショールームですね。まるでカフェにいるみたいです。

匠:ありがとうございます。以前のショールームには、店内にお手洗いすらなかったんです。リニューアルしたとき、キッズスペースのほかトイレ内におむつを取り替えられる場所も作りました。
このショールームをご覧ください。店内に車が1台もないんです。スズキが提供しているタッチパネル式の動くカタログがあって、車(の写真)を360度回転させ、3Dで見ることができるんですよ。
お客様にアンケートを取ると、「ショールームの中に車があるとガソリンの匂いがするような気がする」「タイヤのゴムの匂いが気になる」「子どもが走り回って車に傷をつけないか心配」など、さまざまな意見があることがわかりました。ちょうど、私も子どもが生まれる時期だったので、お客様の声に同感。少しでもお客様に快適に過ごしていただきたいので、思い切って車を置かないことにしました。
三代にわたってお店をやっていると、三代にわたって来てくれるお客様が多いのですが、新規の若いお客様になかなかお越しいただけないんです。それを解消したいと思い、いろいろなことを考えて実践してきました。

– チャイルドシートの短期間無料レンタルや、取り付け方指導をやっているんですね。これはどういうところからアイデアが出てきたのですか?

匠:この地域では、お子さんが家族で帰省した際や、お孫さんの送迎のために数日間だけチャイルドシートが必要になるという、年配のかたが多いんです。
チャイルドシート認定指導員の資格を持っている人は、富士市で7人ほどいるそうなんですが、ほとんどが交通指導員さんで、車の販売店が取得した例はないそうです。
チャイルドシートは、きちんと取り付けるとびっくりするぐらい(車の)座席にピッタリと固定されるんですよ。私が取り付けたときと、お客様が取り付けたときのフィット感が全く違うので、みなさん一様に驚かれます。メーカーによって取り付け方が違いますし、ご実家のおじいちゃん・おばあちゃんも、たまにしかチャイルドシートを使わないので、正しい付け方がわからないんですよね。お盆やゴールデンウィークには、全て貸し出し中になってしまうほど人気があるんですよ。

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「日本初のサービス『ママ車検』が大評判に」

– 御社が考案した「ママ車検」という車検代金の積立システムはとても画期的ですよね。

匠:「ママ車検」は日本初のサービスなんです。他に例があるかどうか気になって調べてみたんですが、やはり他にありませんでした。それはどうしてなのか理由を考えたんですが、やり方によっては「販売法」という法律に引っかかってしまう恐れがあるので、今までサービスとして取り入れる人が出てこなかったようです。もちろん私も弁護士さんに相談しながら、法律に触れないシステムを考案しました。

「ママ車検」をスタートする前に、車検を利用してくださったお客様へケーキをプレゼントするサービスを行ったことがありました。「車検は車の誕生日のようなもの」というキャッチフレーズを膨らませて発案したのですが 、10万円もの大金を出すお客様にとっては、「2年ごとにやって来る悪魔のようなもの」。そこまで考えが至らず、集客には繋がりませんでした。

「どうしたら車検の悪いイメージを取り除いてもらえるか」ということを考えた結果、「ママ車検」のアイディアが出てきたのです。 それに加えて、 空気圧のチェックやお出かけ前の点検など、車検後に無料でメンテナンスを何回でも引き受けるという付加価値をつけています。

– 「ママ車検」の加入者は何人ぐらいいるんですか?

匠:ほぼクチコミだけで広がり、現在の加入者は20人前後。集客には、商工会さんから紹介していただいた補助金を利用して作った、宣伝用のパンフレットがとても役に経ちました。もっと詳しく知りたいとか、加入前にもう少し考えたいとおっしゃる方に持ち帰ってもらって、検討してもらうことに役立っています。加入者さんのなかには「友達にも教えてあげたい」と、このパンフレットをお友達に配ってくださることもあるんです。

– どのようなシステムになっているのですか?

匠:毎月いくらか積み立てるかはお客様が選び、車検代金を支払ったあと、余ったお金はお釣りとして全額返金するという形になっています。
車検代はご自分で積み立てる方もいらっしゃいますが、家計のことを考えるとなかなか積み立てまでに至らない人のほうが多いのではないでしょうか。そんな方のお役に立てるサービスです。一度使っていただくと、とても便利なシステムだということがご理解いただけるので、ほとんどのお客様が引き続き契約してくださるんですよ。「ママ車検」の噂を聞いて、遠方からわざわざ訪ねて来てくださるお客様もいます。

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「『ママ車検』を全国に広めたい!」

– 努力が実を結んで、全国のスズキ販売店で「ママ車検」が高く評価されたそうですね。

匠:そうなんです。「ママ車検」が話題になったおかげで、全国のスズキ販売店のなかでも数店舗しか出ることができない、プロモーション映像への出演店舗に選ばれたんです。その映像に出演して以来、沖縄や九州、四国など全国のスズキ販売店から「やりかたを教えてほしい」と問い合わせがありました。
私としては、他の販売店さんにも「ママ車検」をどんどん真似してもらって、全国に広まればいいと思っているんです。ご要望があれば、このビジネスモデルについて直接レクチャーしますよ。

自動車販売店は、どのお店でもみんな同じ車を扱っています。どこで買っても商品も値段も一緒。しかし「この販売店で選ぶ」というメリットがあれば、それぞれが差をつけられるはず。そのメリットをお伝えしたいのです。経営者が高齢化しているので、そこまで気が回らなかったり考える余地がないのかもしれない。この業界も跡継ぎ問題は深刻ですから。活性化の起爆剤にもなる「ママ車検」を、全国の販売店さんに知っていただけたらうれしいです。

– 「ママ車検」のパンフレットは補助金を利用して作ったそうですね。

匠:広報に力を入れたいと思っていたので、商工会を通じて経営持続化補助金の取得や専門家派遣を利用して、専門家の先生といっしょに「ママ車検」のパンフレットを製作しました。専門家の先生が、デザイナーさんやイラストを描いてくれる人も紹介してくれたんですよ。しかも女性目線でいろいろなアドバイスをくださるのでありがたかったです。
それから、プレスリリース作成の指導も受けたことがあります。これを出したことによって、日経新聞さんや地元の新聞社さんが「ママ車検」の話題を取り上げてくれました。
そのほか経営革新計画の認証も受けています。何もないところから商工会さんと一緒に申請書を作成しました。最初は何を書いたらいいか全くわからなかったんですが、1回作れば、それをベースに新しい申請書を作り直せばいいだけなので、一度作成してみることをおすすめします。

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「人と人をつなぐサービスで地域貢献」

– いま積極的に進めている事業はありますか?

匠:FP(ファイナンシャル・プランニング)サービスですね。「車を買うためにお金をどう管理したらいいか?」というお客様のためのサービスです。難しいのですぐ取りかかれないのですが、外部のファイナンシャル・プランナーさんと契約してチャレンジしてみたいと思っています。
地元で三代続いてきたという基盤があるからこそ、新しいアイディアを形にすることができます。先代も、お金がかかっていなければ反対する理由がないので、「リスクがゼロだったらやればいいじゃない?」という感じですね。

それから、若いお母さんたちを応援する活動や、子どもの職業体験イベントを引き受けたり、職業講話のために小・中学校へ出向いたりすることもあります。

地域貢献や、みなさまのお役に立てることを願って、さまざまなサービスを実践してきました。これからも、当店の経営理念でもある「人と人とのつながり」を大切に、多くのお客様とのご縁をつないでいきたいです。

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information
三代目 佐野大輔
佐野源スズキ販売
静岡県富士市久沢1-6-23
0545-71-4994


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